ガジュマルで水槽を浄化できる?効果の範囲と水栽培・管理の注意点

ガジュマルで水槽を浄化できる?効果の範囲と水栽培・管理の注意点

ガジュマルを水槽に取り入れるなら、養分を吸収する植物として浄化を補助することを期待し、フィルターや水換えは続ける、という考え方が基本です。植物と魚を一緒に育て、水を循環させる仕組みはあります。ですが、それだけで「ガジュマルを1株入れれば水換え不要」とは言えません。

また、水栽培のガジュマルを育てることと、魚のいる水槽を管理することでは、水の扱いが違います。植物用の容器で紹介される全量交換や水道水の使い方を、そのまま飼育水へ移さないことも大切なんです。ここでは、浄化の仕組みから設置の考え方、日々の管理まで順に見ていきます。

この記事のポイント
  • 植物による養分吸収と浄化の限界
  • フィルター・水換えとの役割分担
  • 水栽培の段階に応じた水位と環境
  • 魚・エビと育てる際の水と用品の注意
目次

ガジュマルによる水槽の浄化はどこまで期待できる?

植物が養分を吸収する浄化の仕組み

植物が養分を吸収する浄化の仕組み

水槽と植物を組み合わせる考え方の参考になるのが、アクアポニックスです。魚の養殖と、土を使わない水耕栽培を組み合わせた仕組みで、魚の排出物を微生物が分解し、植物が栄養として吸収した水を魚の水槽へ戻します。近畿農政局も、養殖魚と野菜を組み合わせた循環型農業の事例を紹介しています。

株式会社アクポニの説明では、魚の排泄物から生じるアンモニアが、微生物の働きによって亜硝酸塩、さらに硝酸塩へと変わり、その硝酸塩を植物が養分として吸収します。硝酸塩は、水槽内のろ過バクテリアによって通常最後に生成される成分。テトラも、水草の栄養になる一方、蓄積すると害になると説明しています。

ここで押さえたいのは、微生物による分解と、植物による養分の吸収は別の働きだということです。ガジュマルの根が、食べ残しやフンをそのまま吸い込んで掃除する、という説明ではありません。植物を取り入れても、汚れを分解する環境と、目に見える汚れを取り除く管理は引き続き必要です。

ガジュマル1株の浄化量や効果が出る日数は決められない

ガジュマルの水栽培自体は、水耕栽培専門ブランドのWOOTANGが案内しています。水槽の情報メディア「トロピカ」でも、水槽で水耕栽培できる植物としてガジュマルが紹介されています。ただし、水で育てられることと、その株が飼育水をどれだけ浄化するかは、分けて考える必要があります。

「1株で何リットルに対応する」「何日で硝酸塩が何%減る」といった、家庭の水槽へ当てはめられる目安は示されていません。トロピカの植物による水質管理の説明にも、水槽の大きさや生体数によるという条件があります。

見た目のよい株を置いたからといって、魚の数や水量に見合う浄化能力まで保証されるわけではないんです。

水栽培では、発根の目安として2〜3週間という案内がありますが、これは植物の根が出るまでの話です。水槽の浄化が完了する日数ではありません。新しい根や葉が出ているかは植物の状態として観察し、飼育水の状態は別に測る。この二つを分けると、ガジュマルの成長だけを理由に水換えを減らす判断を避けられます。

フィルターや水換えを続ける理由

フィルターや水換えを続ける理由

ガジュマルを入れると、ろ過装置を外せるのでしょうか。一般的な飼育水槽では、植物をフィルターの代わりと決めつけないでください。植物による養分の吸収、ろ過バクテリアの働き、水換えによる排出には、それぞれ役割があります。

働き・管理主な役割植物を入れても残る管理
植物による養分の吸収水中の養分を成長に利用する植物の生育状態を観察する
ろ過バクテリアによる分解アンモニアを亜硝酸塩、硝酸塩へと変えるろ過環境を維持する
水換え水中の汚れや分解しきれない物質を外へ出す魚や水槽の条件に応じて続ける
底床などの掃除溜まった汚れを取り除く食べ残しやゴミを放置しない

フィルターも、設置すれば終わりではありません。ジェックスは、生物ろ過のフィルターを掃除せずに目詰まりさせると、バクテリアが酸欠で死んでしまうと説明しています。ろ過材を水槽水で定期的に洗う管理も案内されています。ガジュマルの葉が元気でも、フィルターの汚れは別に見る必要があります。

水換えについても、ジェックスは、水中の汚れや分解しきれない物質を外へ出し、新しい水を入れる役割を挙げています。植物と魚を組み合わせた循環システムの説明を、普通の水槽にガジュマルを追加しただけの状態へ、そのまま当てはめることはできません。

水換えをゼロにする目的で導入するより、今の管理に植物を加える考え方が現実的です。

参考として、ジェックスの熱帯魚向け案内では、一般的な60cm以下の水槽について、水換えを1〜2週間に1回程度、1回の交換量をおおよそ全水量の1/3〜1/2としています。魚の数、エサの量、フィルターの性能で変わる目安です。

ガジュマルを入れた水槽専用の基準ではなく、メダカや金魚など、すべての飼育条件に一律で使う数字でもありません。

透明な水だけで判断せず、水質を測る

浄化を期待してガジュマルを取り入れるなら、水の透明感だけで効果を判断せず、水質を測りましょう。見る項目として、養分の吸収に関係する硝酸塩に加え、ろ過の状態に関わる亜硝酸塩があります。テトラは、亜硝酸塩が高い場合、汚れが十分に分解されず、ろ過サイクルがうまく機能していないことを示すと説明しています。

測定用品の例は、スペクトラム ブランズ ジャパン株式会社が扱う「テトラ テスト試験紙 6 in 1(淡水用)5回/25回」。pH、炭酸塩硬度、総硬度、亜硝酸塩、硝酸塩、カルキの6項目を確認できます。淡水用の製品で、アンモニアはこの6項目に含まれません。必要な測定項目に合う用品を選んでください。

観葉メモ

スペクトラム ブランズ ジャパン株式会社 テトラ テスト試験紙 6 in 1(淡水用)5回/25回 を探す

  1. 試験紙は矢印の上の部分を持ち、試薬の付いた部分には触れない
  2. 試薬の付いた部分を水槽の水に約1秒浸す
  3. 余分な水分を振り落とし、60秒後に容器の比色紙と比較する

数字は、魚の種類に合う水質を考えるために使います。同じ淡水魚でも、最適なpHは異なります。また、水換えの頻度は魚の数やエサの量などでも変わるため、測定値が変わったことだけで「ガジュマルの効果」とは決められません。水換えや給餌の状況と合わせて読み、魚の動き、食べ残し、ゴミの状態も観察しましょう。

ガジュマルを水槽に取り入れ、浄化を補助するための育て方

鉢植えからの移行と水挿しは、植物用の容器で考える

手元の鉢植えを水栽培へ移す方法と、枝を切って水挿しする方法があります。水挿しは、切った枝を水に挿して発根させる方法です。どちらも植物を水に適応させる段階の作業なので、魚のいる水槽で行う手順と混同しないことが大切です。まず植物用の容器で状態を見る進め方をおすすめします。

WOOTANGの土栽培からの移行手順は、ポットから取り出して土を落とし、流水で根の隙間まで洗い、細い根を剪定してから水栽培を始める流れです。太い主根は傷つけず、剪定後は日陰で半日程度乾燥させると案内されています。鉢の土を付けたまま水に沈めるだけの方法ではありません。

移行に適した時期は、同ブランドでは春から夏の4〜9月。発根に必要な20〜30℃を保ちやすいことが理由として挙げられています。初期は発根するまで毎日水を交換し、濁りや臭いが出たらすぐに交換する案内です。これは植物用の容器の管理であり、魚のいる水槽を毎日全量交換するという意味ではありません。

  1. 水挿しでは、節を含む若い枝の先端を10〜15cm程度切り、上部の葉を残して水に浸かる部分の葉を取り除く
  2. 切り口から出る白い樹液を洗い流す
  3. 清潔な植物用の容器に入れ、茎が2〜3cm程度浸かる水量にする
  4. 直射日光の当たらない明るい日陰に置き、2〜3日に1度水を交換する
  5. 発根の目安は2〜3週間と考え、根の状態を観察する

枝や根を切る際は、樹液にも注意しましょう。OATアグリオは、白い樹液に含まれるラテックスによって、人によってはかぶれを起こす場合があると説明し、園芸用の手袋などで直接触れないよう案内しています。水挿しの手順があるからといって、切った直後の枝や樹液の魚・エビへの安全性まで保証されるわけではありません。

水位は株の段階に合わせ、深く沈める前提にしない

水位は株の段階に合わせ、深く沈める前提にしない

水で育てられると聞くと、根をたっぷり沈めたくなりますよね。ですが、WOOTANGの水栽培の案内は、水に浸す部分を限定したものです。ガジュマル全体を水中に沈める栽培とは区別し、株をどの高さに置くかは、水槽の深さだけで決めないでください。

WOOTANGが説明する対象水に浸す部分の目安対象となる管理
土栽培から水栽培へ移した初期の株根が2〜3cm程度発根状況に応じて水位を調整
水に適応させたガジュマルの水栽培根が3〜4cm程度根全体を長期間水中に置かない
枝を使った水挿し茎が2〜3cm程度水に浸かる部分の葉を取り除く

この表の数字は、植物用の容器で紹介されている水位です。水槽での浄化能力を決める数値でも、すべての大きさの株に使える安全基準でもありません。水槽の底に置いた結果、根全体が深く沈むなら、その置き方はこの水栽培の案内とは条件が異なります。設置を考える際は、根のどの部分が水に触れるかを先に見ましょう。

また、植物用容器の水交換と水槽の水換えでは、作業そのものが違います。WOOTANGの土からの移行記事には、発根後に容器の水を全部交換する案内があります。一方、ジェックスの熱帯魚向け案内は、水質の急変を避けるため一度に全部交換しないという内容です。

水を入れ替えるときは、植物だけの容器なのか、生き物の飼育水なのかで判断してください。

光・温度を整え、落葉と根腐れを見分ける

ガジュマルの水栽培では、WOOTANGは明るい間接光が当たる場所をすすめています。レースカーテン越しの窓際や、窓から少し離れた明るい場所が例です。直射日光は葉焼けにつながることがあり、OATアグリオも、挿し木でまだ発根していない間は明るい日陰に置くよう案内しています。

温度については、WOOTANGの置き場所の目安は20〜25℃程度の安定した環境です。ただし、これは植物側の環境の目安で、魚の飼育水温を一律に決める数字ではありません。夏は高温と水温の上がりすぎ、冬は寒さに注意するという季節の管理も示されています。

植物に合わせて水槽の条件を変える前に、飼っている生き物の条件と両立するかを考えましょう。

葉が黄色くなったときは、落ち方も見ます。WOOTANGの水栽培FAQでは、下部の古い葉が数枚黄色くなる場合は自然な新陳代謝、全体が黄色くなる場合は夏の高温による根腐れや冬の寒さの可能性が挙げられています。

土から水へ移した直後の黄変については、環境の急変によるストレスが原因として考えられるという別の説明もあります。

一方、根が柔らかくなり水が濁る状態は、同ブランドでは根腐れの典型的な症状とされています。茶色い変色や悪臭も、根腐れの症状として紹介されています。葉の色だけで肥料不足と決めず、根の硬さ、臭い、水の状態も見てください。

根腐れが疑われる株は植物用の容器で対処を考え、魚のいる水槽へ植物用の薬剤を足して解決しようとしないことが大切です。

魚やエビと育てる際は、水と園芸用品の扱いを分ける

魚やエビと育てる際は、水と園芸用品の扱いを分ける

メダカ、金魚、エビとガジュマルを一緒に育てたい場合も、「ガジュマルが水で育つ」という説明だけでは、その組み合わせの安全性は判断できません。特に樹液について、人の皮膚への注意と魚・エビへの影響は別の論点です。

魚種別の安全性や安全な濃度は確認できていないため、「無害」「少量なら大丈夫」とは言い切れません。

水の扱いで明確に分けたいのが、塩素です。WOOTANGの植物単独の水栽培では水道水を使う案内がありますが、ジェックスは、水道水の塩素が熱帯魚、エビ、ろ過バクテリアに悪影響を与えると説明しています。

魚のいる水槽へ補水・換水する水は、植物だけの容器の説明に合わせず、飼育用として塩素を中和する管理を続けてください。

肥料も同様です。WOOTANGは、観葉植物の水栽培では基本的に肥料は不要で、大きく育てたい場合に与えるという案内をしています。ただし、そこで紹介される肥料の使い方は、魚やエビのいる水槽への適合説明ではありません。植物用の希釈倍率を、そのまま飼育水へ加える量に読み替えないでください。

肥料や根腐れ防止用品は、使用する水槽と生体に対応する案内があるかで判断します。

観葉植物の周囲で使う虫対策用品にも、個別の注意があります。例えば、KINCHO園芸の「MY PLANTS コバエを退治するミスト」は、観葉植物周りへの散布を案内する一方、散布液が観賞魚にかからず、池や河川へ入らないよう注意しています。

これは購入をすすめる例ではなく、観葉植物の近くで使える用品でも、水槽への使用可否を別に読む必要があるという例です。

日々の管理では、ガジュマルと魚を両方見ましょう。植物側は葉と根、水槽側は魚の動き、食べ残し、ゴミ、水質。枯葉の分解もアンモニア発生の原因として挙げられているので、水中へ落ちた葉を浄化の材料として残す考え方は避けます。ガジュマルの成長を楽しみながら、掃除・ろ過・水換えを支える管理を続ける。

それが、浄化を過信せずに取り入れる出発点です。

ガジュマルによる水槽の浄化と管理のまとめ

この記事のまとめです。

  • ガジュマルは養分吸収による浄化の補助として考え、フィルターや水換えを続ける
  • 微生物によるアンモニアなどの分解と、植物による硝酸塩の吸収は別の働き
  • ガジュマル1株の対応水量・浄化率・効果が出る日数は、家庭の水槽に使える基準が示されていない
  • 透明感だけで判断せず、硝酸塩や亜硝酸塩などを測り、魚の種類に合う水質を考える
  • 土からの移行や枝の水挿しは、植物用容器の手順と魚のいる水槽の管理を混同しない
  • 水位の目安は移行初期・水に適応した株・水挿しで対象が異なり、水槽の安全基準ではない
  • 明るい間接光と安定した温度を考え、植物側の温度目安を魚の飼育水温へ一律に当てはめない
  • 黄変や落葉には複数の原因があり、柔らかい根・濁り・悪臭なども合わせて観察する
  • 剪定時の白い樹液はかぶれへの注意が必要で、魚・エビへの無害性までは保証できない
  • 飼育水の塩素中和を続け、植物用の肥料や虫対策用品の説明を水槽へそのまま移さない
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この記事を書いた人

はじめまして、ふたばです。
100円ショップのサンスベリアから観葉植物デビューし、何度も枯らす失敗を重ねて、今は植物との暮らしにどっぷりハマっている40代の園芸愛好家です。
「自分のお部屋にぴったりの一鉢」に出会えるお手伝いができれば嬉しいです。

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