観葉植物を針金で曲げたいときは、植物と曲げ方を決めてから、針金の素材・太さを選ぶのが出発点です。枝に巻くなら扱いやすいアルミ線が候補ですが、鉢の縁へフック状に引っかける方法ではスチール線が勧められています。同じ「曲げる針金」でも、使う場所によって選び方が違うんです。
また、外す時期にも一律の正解はありません。巻き付ける針金、フィカスの小苗に使う曲げ具、ウンベラータの幹を引いて固定する方法では、紹介されている期間が異なります。ここでは、それぞれの条件を分けながら、準備から取り外しまで説明します。
- 柔らかいフィカスを中心とした株選び
- 巻く・引く・曲げ具に合わせた針金の選択
- 植物と手順ごとに異なる作業時期・水やり
- 固定期間と食い込みを踏まえた取り外し
観葉植物を針金で曲げる前に知りたい株と道具の選び方
曲げる候補は幹の柔らかいフィカスから

具体的な候補として挙げられるのは、フィカス(ゴムノキ)の仲間です。『みんなの趣味の園芸』では、幹や枝がしなやかで、好みの樹形に曲げられる植物として紹介されています。なかでもフィカス・ルビギノーサは、特に幹が柔らかく曲げやすいとされています。
株を選ぶときに見たいのは、植物名だけでなく幹の柔らかさ。ウンベラータについてAND PLANTSは、緑色の若い幹や枝が曲げやすく、太く硬くなった部分は折れたり、固定しても曲がりぐせが付かなかったりする可能性を説明しています。「大きく育った株ほど曲げ仕立てに向いている」とは限りません。
同店は、ウンベラータで曲げる部分の太さを親指程度としていますが、これは株の大きさにもよる目安です。親指ほどなら必ず折れない、という基準にはできません。硬くなった幹を力で曲げるより、若く柔軟な部分があるかを先に見ましょう。
巻く・引く・曲げ具を使う方法を分けて考える
| 方法 | 針金の使い方 | 紹介されている対象・仕立て |
|---|---|---|
| 巻き付ける | 支点を固定し、枝に沿って斜めに巻く | シードストックが紹介する観葉植物の針金かけ |
| 鉢へ引いて固定する | 幹と鉢の縁をワイヤーでつなぎ、支柱も使う | AND PLANTSが紹介するウンベラータのS字仕立て |
| 曲げ具を使う | 「山」の字形に加工した針金を数か所にかける | 『みんなの趣味の園芸』が紹介するフィカスの苗の枝曲げ |
まず区別したいのが、針金を枝へ巻く作業と、幹をワイヤーで引く作業です。前者は枝に沿わせた針金で形を保ち、後者は鉢の縁や支柱を固定先にします。曲げ具を使う方法では、加工した針金の中央と両端で幹や枝を支えます。
大きなS字や螺旋を目指す場合には、幹の長さも必要です。AND PLANTSは、ウンベラータをこうした形に仕立てる際、樹高70cm以上に育てることを勧めています。低い株では曲線が窮屈な印象になるためです。
一方、『みんなの趣味の園芸』の曲げ具による方法は、小ぶりなフィカスの苗を使うもの。「70cm以上」は、あらゆる観葉植物の枝曲げに必要な高さではありません。株全体に大きな曲線を作りたいのか、小苗の数か所へ曲がりを付けたいのかで、参考にする方法を選びましょう。
針金の素材と太さは固定方法に合わせる

枝へ巻き付ける針金の候補は、盆栽用のアルミ線です。種子販売店シードストックは、扱いやすい素材としてアルミ線を挙げ、太さは枝の3分の1〜半分を目安にしています。枝の太さとの関係で選ぶ目安なので、「観葉植物なら何mm」と一つには決められません。
ウンベラータを曲げる道具として、AND PLANTSが挙げるのは太さ1.0〜3.0mmのアルミワイヤーです。ただし、同店は鉢の縁へフックにしてかける場合にはスチール製を勧めています。スチールは強度がある一方で、硬く曲げにくいという説明もあります。
扱いやすさだけでなく、どう固定するかまで含めて選ぶ必要があります。
「山」の字形の曲げ具には、『みんなの趣味の園芸』が太さ2mmの針金を紹介しています。適度な硬さがあるコチョウラン用の支柱も候補です。この2mmは曲げ具を作る例であり、太い幹から細い枝まで同じ針金で対応できるという意味ではありません。
道具も方法に合わせてそろえます。ウンベラータを鉢へ引いて固定するなら、ワイヤーのほかに支柱、園芸用ビニールタイ、ペンチ、ニッパー。曲げ具を作る方法では、針金を「山」の字形へ加工するためのペンチなどが必要です。針金だけを先に購入するより、固定先と加工に使う道具まで決めておくと準備がまとまります。
作業時期と水やりは植物・手順ごとの条件を守る
ウンベラータの幹を曲げる時期として、AND PLANTSが案内するのは5〜9月です。成長が活発な時期に行う作業としており、生育が緩慢な10〜4月は、曲げることで折れたり枯れたりする可能性を挙げています。
これに対し、『みんなの趣味の園芸』のフィカスの曲げ具による方法は、4月上旬〜7月下旬、9月上旬〜10月下旬が作業期間。真夏と晩秋〜早春は避ける案内です。また、シードストックの針金かけは春〜初夏を適期としています。
観葉植物全体に共通する月としてまとめず、対象の植物と採用する手順に結び付けて考えてください。
作業前の水やりには、相反する案内があります。
『みんなの趣味の園芸』のフィカスの曲げ具による方法では、作業前にしっかり吸水させます。乾き気味で曲げると、その後の水やりで幹が割れることがあるためです。一方、AND PLANTSのウンベラータの解説では、数日前から水やりを控えて土を乾かす案内になっています。
この違いから「どちらでも同じ」とは言えません。小苗に曲げ具をかける手順へ、別の方法の水切りだけを組み込むような混用は避けたいところです。手元の株にどちらの案内を適用すべきか判断できない場合は、作業前に販売店へ株と予定する方法を伝えて相談しましょう。
観葉植物を針金で曲げる手順と外すタイミング
枝に巻く方法は支点を固定してからゆっくり曲げる
シードストックが紹介する巻き方の基本は、支点をしっかり固定し、針金を45度の角度で巻き、下から順にゆっくり曲げる流れです。針金をかけることと、枝を曲げることを分けて進めます。
巻き方を詳しく知る参考になるのが、盆栽エンパイアの針金かけ解説です。こちらは盆栽を対象にした技法ですが、一本の枝へかける場合は、幹へ少なくとも2回巻いてから枝へ約45度で巻き進めると説明しています。複数の針金が同じ部分を通る場合は、できるだけ平行に並べる方法です。
曲げる際には、針金が乗った部分へ親指を当て、そこを支点にするという説明もあります。同解説は、何度も曲げ直すと枝を傷めるとしています。曲げながら行き先を探すより、先に目指す枝の位置を考えることが大切です。
ただし、盆栽の巻き方を参考にできても、それだけで手元の観葉植物に適した作業時期や曲げ幅まで決まるわけではありません。シードストックも、硬くなった枝は折れやすいと注意しています。巻き付ける技術と、曲げる対象の柔らかさは別々に見てください。
同店は針金をかける前の保護テープも紹介していますが、テープがあれば放置できるわけではありません。針金を外す判断では、成長による食い込みが始まる前かどうかが重視されています。
ウンベラータのS字は鉢への固定と支柱を組み合わせる


ウンベラータの幹全体にS字を作る例として、AND PLANTSの曲げ方があります。幹を左右へ曲げ、鉢の縁と支柱を使って固定する方法です。枝へ針金をびっしり巻く手順とは異なります。
- 株元側の幹を横へ倒し、ワイヤーを鉢の縁にかけて固定します。
- 次の部分を反対方向へ曲げ、同じように鉢の縁へ固定します。最初が右なら、次は左です。
- 鉢の中心へ支柱を挿し、曲げた幹を園芸用ビニールタイで留めます。
- 幹の上部をさらに逆向きへ曲げてS字の上側を作り、先端も支柱へ固定します。
この方法では、鉢の縁が固定先になる点が準備のポイントです。同店は縁のない鉢の場合、縁のある鉢へ植え直しておく案内をしています。幹を曲げ始める前に、ワイヤーをどこへ留めるかまで決めておきましょう。
また、S字と螺旋では支柱の使い方が違います。同店が紹介する螺旋の方法は、鉢の周囲へ3本の支柱を等間隔に挿し、その先端をワイヤーでまとめ、円錐形の支柱に沿わせて幹をビニールタイで固定するものです。螺旋を目指す場合も、先に幹の長さを確保するという条件は変わりません。
曲線を大きくしたい場合でも、硬い幹を無理に曲げれば折れる可能性があります。形の見本だけを追わず、若く柔らかい部分を使うという株選びに立ち返ってください。
フィカスの小苗には「山」の字形の曲げ具という方法も
小さなフィカスの苗に数か所の曲がりを付けたいなら、針金で作る曲げ具も選択肢です。『みんなの趣味の園芸』の枝曲げ解説では、フィカス・ルビギノーサの苗を例に、太さ2mmの針金を使っています。
針金はペンチなどで「山」の字形に加工します。その中央部を支点に幹を曲げ、両端を反対側から枝にかけて留める仕組みです。曲げる場所は節と節の間にすると、折れにくくなると説明されています。一本の長い針金を巻き進めるのではなく、加工した曲げ具を必要な場所へ取り付けます。
紹介例では、曲げ具を3〜5本かけて、好みの方向へ曲げています。ただし、本数だけを合わせれば同じ形になるというものではありません。どの場所に曲がりを付けるかを考えながら、数か所に固定する方法です。
この手順では、なるべく幹の柔らかい苗を使い、作業前に十分吸水させます。ポリポット植えの購入苗については、古い用土を落とし、一回り大きな鉢へ新しい用土で植え替えてから作業する案内です。苗の準備も含めて一つの手順として捉えましょう。
外す時期は固定期間の目安と食い込みを一緒に見る


針金は、長く付けておけばよいわけではありません。植物が太くなると針金が食い込みます。一方、形が付くまでの期間については、次のように方法ごとの案内が異なります。
| 対象・方法 | 案内されている固定期間 | 併せて見る条件 |
|---|---|---|
| シードストックの針金かけ | 一般的な目安は2〜3か月 | あくまで参考。種類・成長速度によっては1か月程度で外す場合もある |
| 『みんなの趣味の園芸』のフィカスの曲げ具 | 半年ほど | 幹や枝の硬さによる。形が固定されたかを確認する |
| AND PLANTSのウンベラータの曲げ方 | 最低でも1年間 | 同店は春から夏だけの固定では不十分と説明。2〜3年以上の固定では食い込みを警告 |
この数字の違いを、「細い枝なら何か月、太い幹なら何年」と独自の早見表へ置き換えることはできません。対象も固定方法も異なるためです。特に、ウンベラータの1年間という案内を、枝へ巻き付けた針金全般の放置期間にしないでください。
シードストックは、針金が食い込み始める前に外すことを重視しています。盆栽エンパイアも、成長期にはよく観察し、食い込まないよう時期を見て外すと説明しています。予定した期間が過ぎるのを待つだけでなく、針金の接触部分と枝の太り方を見る作業が必要です。
巻いた針金の取り外しについて、盆栽エンパイアは、ほどいて再利用しようとせず、切りながら外す方法を勧めています。そのほうが外しやすく、枝を傷つけにくいという説明です。これは巻き付けた針金の扱いであり、「山」の字形の曲げ具と同じ外し方を意味するものではありません。
曲げ仕立ては、固定した瞬間に終わる作業ではないんですね。目指した曲がりが保たれているか、針金が食い込み始めていないか。
形と接触部分の両方を見ながら、取り外す時期を判断しましょう。
観葉植物を針金で曲げる方法と注意点のまとめ
この記事のまとめです。
- フィカスの枝曲げでは、なるべく幹の柔らかい苗を選ぶ
- 巻き付け・鉢への固定・曲げ具では、針金の使い方が異なる
- 巻き付け用のアルミ線は、シードストックでは枝の太さの3分の1〜半分が目安
- ウンベラータの鉢の縁へフック状にかける用途では、AND PLANTSはスチール線を推奨
- 作業時期は対象別に判断し、ウンベラータの5〜9月という案内を全植物へ広げない
- 作業前の吸水と水切りには相反する案内があり、異なる手順を混用しない
- 巻く方法では支点を固定し、45度で巻いて下から順にゆっくり曲げる
- ウンベラータのS字仕立ては、鉢の縁へのワイヤー固定と支柱を組み合わせる
- フィカスの小苗に使う曲げ具は、太さ2mmの針金を「山」の字形に加工する例がある
- 固定期間は方法によって異なり、巻いた針金は食い込み始める前の取り外しを重視する




